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近年、人工知能技術は飛躍的に進んでおり、係る専利出願の件数も急増している。中国知識財産局は、現行の専利審査基準をさらに明確し、細分化することで、イノベーション主体が一般的に注目している核心問題を適時に解決するため、2024年12月に「人工知能関連特許出願ガイドライン(試行)」を公布して、出願人が現行の専利審査政策をよりよく理解するように支援した。
「人工知能関連特許出願ガイドライン(試行)」には、以下の部分が含まれている。
第一章:人工知能関連特許出願の一般的な出願種類及び法的問題
一般的な出願種類は、人工知能アルゴリズム又はモデル自体に関わる関連専利出願、人工知能アルゴリズム又はモデルに基づく機能又は分野の応用に関わる関連専利出願、人工知能の支援により作成された発明に関わる関連専利出願、及び人工知能より生成された発明に関わる関連専利出願という、4つの種類の出願に分けられる。
さらに、現在の人工知能分野における5つの焦点問題として、発明者主体の適格性問題、客体基準問題、充分な開示に関する要求、アルゴリズム的特徴がどのように創造的貢献をもたらすかの問題、人工知能倫理問題を提出した。
第二章:発明者身分の認定について
発明者の署名は自然人でなければならず、人工知能システムは、現在、民事主体として民事権利を享有できないため、発明者としてはならない。
人工知能アルゴリズム又はモデル自体に関わる関連専利出願及び人工知能アルゴリズム又はモデルに基づく機能又は分野の応用に関わる関連専利出願について、発明者とは、発明創造の実質的特徴に対して創造的貢献をした者を指す。
人工知能の支援により作成された発明に関わる関連専利出願について、発明創造の実質的特徴に対して創造的貢献をした自然人は、専利出願の発明者として署名することができる。
人工知能により生成された発明に関わる関連専利出願について、現在の法的背景で、人工知能に発明者の身分を付与することができない。
第三章:案の客体の基準について
客体に対する判断は、専利法第25条第1項第(2)号に基づいて「知的活動の規則及び方法」を排除すると共に、第2条第2項の「技術案」に関する規定を満たさなければならない。
客体に対して判断を行う際には、まず、請求項の案が「知的活動の規則及び方法」に属するか否かを判断する。
請求項の案が「知的活動の規則及び方法」に該当しない場合に、案が専利法第2条第2項に規定された「技術案」に該当するか否かを判断する。
案が技術案に属するいくつかの一般的な状況には、
人工知能アルゴリズム又はモデルが処理する対象が、技術分野で確実な技術的意義をもつデータであること、
人工知能アルゴリズム又はモデルがコンピュータシステムの内部構造と特定の技術的関連が存在すること、
人工知能アルゴリズムに基づいて、具体的な応用分野のビッグデータにおける自然法則に合致する内的関連関係をマイニングすること、
が含まれている。
第四章:明細書の充分な開示について
人工知能アルゴリズム又はモデルは「ブラックボックス」の特性を有し、充分な開示の目的を達成するために十分な情報が必要である。発明の貢献が異なり、当該発明を実現するための不可欠な技術的内容も異なる。
発明の貢献が人工知能モデル訓練に関する出願の場合、通常、案が解決しようとする課題又は達成しようとする効果に応じて、明細書に、必要なモデル訓練過程に関わるアルゴリズム及びアルゴリズムの具体的なステップ、訓練方法の具体的な過程などを明確に記載する必要がある。
発明の貢献が人工知能モデル構築に関する出願の場合、通常、案が解決しようとする課題又は達成しようとする効果に応じて、明細書に、必要なモジュール構造、階層構造又は接続関係などを記載し、モデルの機能及び効果を正確かつ客観的に明記する必要がある。必要に応じて、実験データ、分析論証などの手段を通じて、改善後に達成できる効果を表明する。
発明の貢献が人工知能の具体的な分野応用に関する出願の場合、通常、案が解決しようとする課題又は達成しようとする効果に応じて、明細書に、モデルが具体的な応用シーンとどのように結合するか、入出力データをどのように設定するかなどを明確にする必要がある。場合によって、明細書に、当業者が両者間の関連性を判断できるように、入力データと出力データとの間の相関性を明らかにしなければならない。
第5章:進歩性に対する検討
人工知能関連特許出願について、進歩性を検討する際には、技術的特徴と機能上で相互に支持し合い、相互作用の関係が存在するアルゴリズム特徴と前記技術的特徴を一体として考慮しなければならない。「機能上で相互に支持し合い、相互作用の関係が存在する」とは、アルゴリズム特徴と技術的特徴が緊密に結合し、共同である技術課題を解決する技術手段を構成し、相応の技術効果を得ることができることを指す。
技術的特徴と一体として考慮されたアルゴリズム特徴が技術案に貢献する状況:
1.人工知能アルゴリズム特徴を技術手段の構成要素とすること
案が従来の人工知能アルゴリズムフロー或いはモデルパラメータを調整することに関連し、該当調整が特定の機能或いは応用分野での技術課題を解決し、有益な技術効果を得た場合、アルゴリズム特徴と技術的特徴は機能上で相互に支持し合い、相互作用の関係が存在すると認定でき、進歩性を判断する際に、アルゴリズム特徴が案に対する貢献を考慮すべきである。
出願に記載されている人工知能アルゴリズム又はモデルが従来技術に属し、案の改善が、従来の技術分野から本出願の技術分野に応用することである場合、進歩性を検討する際に、アルゴリズム又はモデルが応用される技術分野間の差別の大きさや、相応の技術的示唆の存在要否や、異なる分野のシーンに応用する難易度や、技術上の困難を克服する必要性や、予想できない技術効果があるかなどを総合的に考慮しなければならない。
さらに、アルゴリズム又はモデルの異なる分野のシーンへの応用が、技術上の困難を克服してアルゴリズム又はモデルの訓練方法、パラメータ、配置などの要素の調整を実現しておらず、予想できない技術効果も得ていない場合、案に進歩性を持たせることができない。
2.人工知能アルゴリズム又はモデルがコンピュータシステムの内部構造と特定の技術的関連を生じること
人工知能アルゴリズム又はモデルがコンピュータシステムの内部構造と特定の技術関連が存在し、コンピュータシステムの内部性能に対する改善を実現した場合には、進歩性を評価する際に、案におけるアルゴリズム特徴と技術的特徴を一体として考慮することになる。
3.人工知能アルゴリズム又はモデルが技術的特徴と共に技術的手段を構成してユーザー体験を向上させること
案における人工知能アルゴリズム特徴が技術的特徴とともに、ユーザー体験を向上させる場合、進歩性を評価する際に、アルゴリズム特徴と技術的特徴を一体として考慮する。また、従来の技術が技術的示唆を与えていない場合、案は進歩性を有する。
第六章:人工知能関連特許出願における倫理的問題について
人工知能関連内容の専利出願を行う際に、専利法第5条の規定に合致しなければならない。
人工知能アルゴリズム又はモデルが異なる分野に応用される場合、出願人は、アルゴリズム又はモデルに関わる案が具体的な分野のシーンに応用される際に、関連法律法規、社会公徳に違反し、又は公共利益を妨害する等の問題が存在するか否かに注目しなければならない。人工知能によりデータを取得・利用する場合、データの供給元、応用シーン、セキュリティ管理、使用規範などの各段階において、関連法律法規に準拠しているかどうかに注目する必要がある。データ内容そのもののほか、具体的なデータ収集、保存、処理などの手段も関連法律法規の要求に合致する必要があり、社会公徳に違反したり、公共利益を妨害したりしてはならない。
【銘碩の観点】
人工知能関連特許出願について、「人工知能関連発明専利出願ガイドライン(試行)」は、公衆に注目される5つの焦点問題に基づき、「専利審査指南」に分散して記載されている関連規定をまとめて詳細に説明することにより、出願人がより絞られたガイドラインを得るようにした。
なお、5つの焦点問題の中、「人工知能倫理問題」に対応する第六章は、「専利審査指南」よりも、人工知能関連特許出願を審査する際の専利法第5条の適用例をさらに明確したため、出願人が特に注意しなければならない。
北京銘碩特許法律事務所