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中国商標法第四条「使用意図のない大量出願」に該当した場合の解決案

中国は先願主義の国であり、「防御商標制度」がないため、先に商標権を所有し、複数の区分において「防御」商標を登録し、他人が自分の商標と同じ或いは類似の商標を登録することを阻止することが特に重要である。過去には、複数の区分にて大量の商標出願をしてもかまわなかったが、2020年以降、ますます多くの商標出願が『中国商標法』第4条の「使用意図のない大量の出願」に該当するという理由で、中国国家知識産権局(CNIPA)より「審査意見通知書」(実質審査前に発行)、或いは直接「拒絶査定通知書」が発行されている(実質審査後に発行)。上記の状況は、長年にわたって多区分出願や全区分出願で商標保護を行ってきた出願人(多くは企業)たちの商標出願プランが狂わされる。

上記の問題について、一問一答の方式で、「中国商標法」第4条の「使用意図のない大量出願」状況について、より詳しく説明しようと思う。

問題1:2020年から現在まで、CNIPAの『中国商標法』第4条の「使用意図のない大量出願」より発行された「審査意見通知書」の件数

現在まで、CNIPAは、実体審査の前に「使用意図のない商標」に基づき「審査意見通知書」を発行したデータを対外的に公表していなかったが、CNIPAデータベースと拒絶査定の数を利用して、次のように推定できる。

2021年まで審査官は、出願商標が使用意図のない悪意のある出願であると判断した場合、「審査意見通知書」なしで、直接「拒絶査定通知書」を発行してきた。そのため、上記の表に示したように、2021年の拒絶査定件数は44000件以上に大幅に跳ね上がり、2020年に比べて50%増加した。

但し、これらの大量の「拒絶査定通知書」は多くの出願人に疑問を抱かせ、CNIPAにも多くの質問が殺到されたようである。出願人の不安とCNIPAとの矛盾を緩和するために、CNIPAは政策を変更し、2022年から第4条(実体審査の前に)に基づき、出願人に「審査意見通知書」を発行し始め、大量の出願または全区分出願の状況について説明する機会を与えた。2022年と2023年のデータから見ると、「審査意見通知書」の発行手続きの登場につれ、拒絶査定数は大幅に減少した(これは、ビジネスの真の意図を使用した提出書類が審査官の説得に役立ったことを証明している)。

しかし、第三者データベース「MOZLEN」によると、本NEWSLETTERを作成する際まで、第4条「使用意図のない大量の申請」に関連する「拒絶通知書」に対し、拒絶査定不服再審を提起した件数は総3586件でおり、そのうち390件のみ拒絶査定を経て登録を許可されている。これは、拒絶査定手続を通じて第4条を克服する確率が低い(約10%)ことを意味し、これにより、CNIPA審査段階、すなわち「審査意見通知書」が発行された後、審査官を説得し、該当審査意見を克服することが特に重要になったきた。

問題2:CNIPAはどの状況で「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」を発行するのか?

CNIPAは、出願人が提出したすべての商標出願件数、特に3~6カ月以内に出願した件数を重要な要素とし考慮する。短期間で大量の出願が真の使用意図ではないと判断した場合、「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」が発行される。

「短期間で大量の出願」に対し、具体的な基準はないが、CNIPAの内部システムには、出願人が大量の商標(1000件を超える)を所有し、且つ3~6カ月以内に提出された出願が多い(一般に100件を超える)場合、早期警戒メカニズムがあるそうである。但し、実務では過去3カ月以内に提出された出願件数が30件から50件程度に達した場合にも、「審査意見通知書」が発行されたケースも多くある。

近年、多くの一般商標出願の審査期間は3~4カ月である。出願人が出願書を提出してから、4~5ヶ月以内に審査結果を受け取っていない場合は、審査官が商標法第4条に基づき審査意見を発行する可能性があることを示しているおそれがある。当然、ケースによって、審査期限が他の理由で延期される可能性も排除できない。

問題3:「商標法」第4条に基づく「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」が発行されたら、どのように克服するのか。

「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」が発行された場合、出願人は公式通知を受け取ってから15日以内に答弁し、以下の資料を準備する必要がある。

(1)実際の使用証拠(販売/サービス契約、領収書、広告)または使用計画の意図(会社紹介など);

(2)商標と会社業務間の連絡(社内の該当商標に関するメールのやり取り、社内資料、社内宣伝資料など)、;

(3)出願人の商標に関する争議及び/又は権利侵害事件に対する裁決(他人の悪意出願或は登録に対する異議申立て資料、無効審判資料、他人がコピー模倣した資料など);

(4)商標を使用するための準備(計画書など)。

たとえば、

問題4:一回の「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」克服により、後の出願において同様の問題を引き起こすことを回避できるか。

そうでもないと考える。現在CNIPAやその他の商標専門家から得られている情報によれば、一回の「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」の克服により、出願人が後続の出願で商標使用の意図を疑われることを避けることはできない。従って、出願人はただ使用意図のあること及びそれを立証できる証拠を収集することに注目する必要がある。

但し、出願人が一回の「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」の克服により、次の「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」が発行された場合、より容易に克服できることは事実である。

問題5:出願人はどうやって『商標法』第4条による「審査意見通知書」或は「拒絶査定通知書」の発行率を下げることができるか。

一言で言うと、短期間内に提出された出願の数を「合理的な数」に抑えることを考慮することができる。「合理的な数」は明確な規定或は指導意見はないが、上記CNIPAが考慮している要因によると、新規出願時に証拠の裏付けのある使用声明や使用意図を一括して提出することを試みることができる。

問題6:それでも、正当な使用意図を持つ出願人は多区分の商標または全区分の商標を一括して出願したい場合、どういう計画を立てるべきか。

弊所の実務経験によりますと、まず出願人に「コア区分」(出願人の業務/製品/サービスと直接関連する区分)を中心に出願案内し、「コア区分」における審査が完全に通過した(最終の審査結果を受け取った)後に、出願人に「重点区分」における出願を手配するよう提案する。「重点区分」とは、出願人のビジネス/製品/サービスに類似する区分、或は以後従事する可能性のある区分である。「重点区分」における審査が完全に通過した後、出願人に他人によりコピー模倣されやすい区分において出願するよう案内できる。

まとめ:

上記政策は、確かに商標ブローカの悪意出願を大幅に減少させ、これにより、合法的な商標所有者が悪意のある出願に打撃を与えるためにかかるコストを削減するのに役立っている反面、出願人の商標配布プランを影響したのも事実である。

いずれにしても、政策の本音は本当の出願人の権利を保護し、ブローカの出願を抑制するためであるので、最終的にはこの政策から利益を得る確率が高いと考えられる。