We Serve the Latest News of IP Industry
for Your Reference
近年、中国は知的財産権の保護強化を巡って、法規の整備、体制・制度改革、司法・行政による保護の強化などの面から、一連の政策決定を行い、方針をまとめました。例えば、国家市場監督管理総局を新設し、国家知的財産権局を再編し、さらに、北京、上海、広州に知的財産権裁判所を設立し、最高人民法院(最高裁)に知的財産権法廷を設けました。
また、2014年の商標法改正や、2019年の不正競争防止法改正や、2021年の著作権法改正と専利法改正において、懲罰性賠償制度を導入し、制度の面から中国の訴訟賠償額が低い現状を変更しようとしました。
更に、2021年3月3日には、「最高人民法院による知的財産民事案件を巡る侵害紛争の審理における懲罰性賠償の適用に関する解釈」を発布し、故意と事案の重大性の認定と、賠償基数及び倍数の確定とをさらに明確にして、懲罰性賠償に関する判決において、具体的な判断方法と法律的な根拠を提供しました。
このような背景の中で、近年、知的財産権権利行使の案件は大幅に増加しています。以下は、近年司法リートと行政ルートで行われた権利行使案件の統計データです。
一方、侵害訴訟案件の侵害賠償額もより多くなっている傾向であります。統計によりますと、2015年商標案件の平均賠償額は118526元でしたが、2020年には417823元に 増加し、専利案件の平均賠償額は2015年の428056元から2020年の619078元に増加しました。今月判決された下記二つの侵害訴訟案件を見ても、中国の「侵害賠償額が低い」との認識は昔話ではないか、と疑うほどであります。
1.中国国内のエアコンブランドであるAUXとGREEは、2年間の訴訟を経て、2021年12月に1.6億人民元の賠償金が確定された判決を受けました。
2019年1月、AUX会社はGREE会社に対し、専利権侵害の二つの案件を同時に提訴しま し た 。 原 告 は 発 明 名 称 が 「 圧 縮 機 」 と い う 発 明 専 利 を 有 し ( 専 利 番 号00811303.3)、当該専利の出願日は2000年8月11日で、授権日は2004年9月29日であります。原告は、GREE会社が製造する製品が上記専利権の保護範囲に入ると主張しました。
二つの案件は管轄権異議申し立てと、控訴と、司法鑑定と無効審判などを通じ、また複数回の開廷を通じて、2021年12月に、寧波中級人民法院より以下のような判決を下ろしました。
二つの侵害訴訟案件において、法院は、被疑侵害製品はかかる専利の請求項1と請求項10の保護範囲に入ると認定し、被告GREEの従来技術抗弁は成立できないと判断し、GREE会社は侵害行為を停止し、更にAUX会社に案件別で9600万人民元と7060万人民元の合計1.6億の損害賠償を支払い、合理的な費用もそれぞれ20万人民元を支払うように判決しました。
2. 飲食会社が「百度」商標を使用して、3倍の懲罰性賠償を受けました。
近日、北京知的財産法院は百度会社と京百度会社等5社との侵害紛争案件を審決し、3倍の懲罰性賠償金を適用して、京百度飲食会社など5社に230万元以上の賠償金を科する判決を下ろしました。
百度(バイドゥ)は、中国で最大の検索エンジンを提供する会社で、2000年1月に設立し、全世界の検索エンジン市場において、Google・Yahooに次いで第3位である会社です。
京百度飲食会社と京百度第1、第3、第7、第8の子会社は、経営する店舗の名称や、装飾や、公告宣伝や、微信(Wechat)公衆号や、美団(Meituan)APPなどで「百度」、「百度焼肉」、「百度砂糖」等の標識を大量に使用したため、百度会社は京百度飲食会社とその子会社を提訴して、侵害の停止と、企業名称の変更と、賠償金500万元を請求しました。
法院は、5会社の行為は既に「百度」商標とインタネット検索エンジンのサービス間の直接且つ密接なつながりを破壊し、「百度」商標の顕著性を弱めたと認定しました。
また、5会社が提供した財務帳簿や、納税表などの証拠に基づいて、5会社の侵害期間内の平均営業利潤は30万元程度であり、5会社の侵害期間は5年であることを確認しました。同時に、「百度」という商標の顕著性と知名度や、5会社の侵害事案の重大性や、侵害利益や、百度会社に与えた損害などの要素を考慮して、「百度」の商標が5会社の侵害利益に対する貢献率は35%であると斟酌し、3倍の懲罰性賠償を適用して、最終的に230万元程度の賠償金と合理的な費用を科する判決を下ろしました。