IP情報

We Serve the Latest News of IP Industry
for Your Reference

分割出願は異常出願に属するか

先月のニュースレターでは、実用新案CN201721431962.8の判例を紹介しながら

「分割出願の審査動向について」紹介しました。判例では、「親出願は二つ以上の実用新案を含まなく、分割出願の条件を満たさないため、専利局が下した「未提出と見なす通知書」は妥当である」と、知財法院は判断しました。

上記の判決に対し、知財業界からは、判決の妥当性に対してさまざまな意見がありました。その中、上記のような判決と専利局の審査態度は、最近国家知識産権局が発布した

「専利の出願行為の規範化に関する方法(意見募集稿)」と関係があるとの声もありました。

2021年2月10日、国家知識産権局は「専利の出願行為の規範化に関する方法(意見募集稿)」を発布しました。

当該方法の制定説明では、「当面は、イノベーション保護を目的としないさまざまな形の異常出願行為が依然と存在する」と指摘し、意見募集稿で異常出願に属する行為を列挙しました。その中、第7項には、以下のように記載されています。

「授権の見込みがある親出願を基に、自発的に複数の分割出願を提出したが、法律又は技術上の必要性がない分割出願」。

但し、異常出願と判断を前提となる「法律又は技術上の必要性がない」との表現は明らかではなく、上記の規定によると、自発的な分割出願はいったい異常出願に属するか否かが問題になります。

ここで言う分割出願は自発的な分割出願を指します。

実務上、親出願の授権の見込み及び目標となる技術案の発展状況によって、出願人が適宜に分割することは高品質の専利を生み出す有効な手段であります。

例えば、標準専利の出願において、一つの出願で核心的な技術を巡って複数の技術案を提出したとします。この出願が授権の見込みを有し、その中のある技術案が標準として採用された場合、出願人は通常分割を通じて専利を修正し、より標準にマッチングするようにします。

このような修正は微細な修正ですけど、専利の保護範囲には明らかな影響を及びます。それは、標準専利であるか否かによって、専利の価値には雲壌の差があるからです。

また、あるパテントプールの専利において、親出願と分割出願はそれぞれ一定の価値の割合を有し、それぞれの価値は経済収益に関わるため、技術的差異が小さくても出願人は積極的に分割します。

中国の専利実施細則規定によりますと、専利の分割出願は親出願の登録前、又は審査が終了する前にしか提出することができません。この規定は、期限上厳しく制限されています。

米国には中国の分割出願に類似する継続出願制度があります。

中国の制度に比べ、米国の制度はより緩く、専利の登録後も分割できるようにして、権利者により多い余裕を与えました。

私自身の訴訟実務経験から、分割制度の価値についてお話いたします。

近年担当した訴訟案件で、4Gに関わる標準専利がありました。この専利は中国と米国でファミリ専利を有していました。

該専利は出願が早かったため、中国と米国の専利は全て登録されました。

標準技術が5G 段階に発展した時、当該専利の明細書には5G標準にマッチングする技術も記載されていることが分かりました。

中国の制度によりますと、分割出願はできませんが、米国の制度によりますと、新しい5G標準専利が親出願から分離されることができました。

分割出願を通じ、権利者はまた高価値のある新たな専利を獲得することができました。

異常出願に対する処理は確かに積極的な意義をもっています。しかし、分割出願も異常出願として見なす場合、過失を招く可能性は否定できず、分割制度の意義も大きく変わるでしょう。