We Serve the Latest News of IP Industry
for Your Reference
「同日二重出願」とは、同一の出願人が同様な発明創造について、同日(出願日をいう)に、発明専利出願及び実用新案専利出願をそれぞれ提出することをいう。
2026年1月1日から施行された「専利審査指南」の改訂では、立法趣旨への回帰を理由として、「同日二重出願」に係る場合に、発明専利権を取得するためには先に付与された実用新案専利権を放棄しなければならないことが、さらに厳格化された。
本稿では、「同日二重出願」に係る発明専利出願及びその分割出願について、現在の審査動向を説明する。
1. 同日二重出願に関する関連規定
旧版の「専利審査指南」では、同一の発明創造について同日に発明専利出願及び実用新案専利出願を提出し、その旨を声明した場合において、発明専利出願にその他の不備が存在しないときには、以下の3つの取り扱い方法があった。
(1)実用新案専利権を放棄し、発明専利権を取得する。
(2)実用新案専利権を維持し、発明専利権の付与を放棄する。
(3)発明専利出願の請求項を補正することで、その保護範囲を実用新案専利権の保護範囲と異ならせる(実用新案専利権を維持するとともに、発明専利権も取得する)。
2026年1月1日から施行された「専利審査指南」では、上記(3)の取扱いが明確に排除され、「同日二重出願」について、以下のように規定されている。
「同一の出願人が同日(出願日をいう)に、同様な発明創造について実用新案専利出願及び発明専利出願の双方を提出した場合、専利法実施細則第47条の規定に基づき、同様な発明創造について他の専利出願を提出した旨を出願時にそれぞれ説明しなければならない。説明を行わなかった場合には、同様な発明創造について一つの専利権しか付与できないとの専利法第9条第1項の規定に従って取り扱う。一方、説明を行った場合には、発明専利出願について審査により拒絶理由が発見されなかったときに、所定の期間内に実用新案専利権を放棄する旨を声明するよう出願人に通知すべきである。」
すなわち、現在の審査政策では、同一の主題について同日に発明専利出願及び実用新案専利出願を提出し、その旨を声明した場合、発明専利出願にその他の不備が存在しなければ、発明専利権を取得するためには、実用新案専利権を放棄するという方法のみである。
2. 同日二重出願に対する現在の審査実務
2.1 同日二重出願に係る発明専利出願(分割出願ではない)
同日二重出願に該当する旨の説明が既になされている場合、発明専利権を取得するためには、実用新案専利権を放棄する必要がある。
【事例1】
出願人である甲社は、同日に発明専利出願A及び実用新案専利出願Bを提出し、かつ、願書において両出願が同日二重出願である旨をそれぞれ説明した。実用新案専利出願Bは、審査を経て専利権が付与された。一方、発明専利出願Aについては、2回の進歩性に関する審査に対して、2回にわたり請求項をさらに限定する補正を行った後、審査官は、第三回拒絶理由通知書において初めて専利法第9条第1項の問題(重複授権の問題)を指摘し、出願A及びBの出願日に提出された出願書類において保護範囲が同一である請求項が存在することを理由として、出願人に対し、実用新案専利Bを放棄するよう要求した。
第三回拒絶理由通知書は、改訂後の「専利審査指南」が施行された後に発行されたものである。この場合、発明専利出願Aに、既に実用新案専利Bと同一の請求項が含まれていないとしても、出願後の補正によってA及びBという2つの権利を同時に維持することは、もはや認められない。したがって、出願人は、発明専利出願Aについて専利権を取得することを希望する場合、実用新案専利Bを放棄する旨の声明を提出する必要がある。
2.2 同日二重出願に係る発明専利出願に基づく分割出願
同日二重出願に係る発明専利出願に基づいて分割出願を提出することは可能である。ただし、提出する分割出願の各請求項の保護範囲が、同日二重出願に係る実用新案の出願時における各請求項の保護範囲と異なることを確保する必要がある。そうでなければ、審査官は、当該分割出願について専利権を付与しない。
請求項の保護範囲が同一であるか否かの判断については、請求項における技術的特徴が実質的な限定作用を有するか否かに基づいて判断される。
以下、具体的な事例に基づいて説明する。
【事例2】
出願人である乙社は、同日二重出願である旨を説明した上で、同日に発明専利出願C及び実用新案専利出願Dを提出した後、出願C及びDのいずれについても専利権を取得した。その後、乙社は、専利権が付与された発明専利Cに基づいて、発明専利出願である分割出願Eを提出した。この時点で、同日に提出された(すなわち、出願日が同一である)実用新案専利Dは既に専利権が付与されており、かつ依然として有効であった。また、分割出願Eの願書においては、同日二重出願である旨について改めて説明しなかった。
専利権が付与された実用新案専利Dの独立請求項1では、封止部材Mが孔Oを取り囲むことが限定されている。これに対し、分割出願Eの独立請求項1には、専利権が付与された実用新案の独立請求項1との相違点が、封止部材Mが孔Oの外側に位置することをさらに限定した点のみであった。
審査官は、分割出願Eに対する第一回拒絶理由通知書において、分割出願Eの独立請求項1と、専利権が付与された実用新案Dの独立請求項1との相違点は、封止部材Mと孔Oとの内外の位置関係を明確にした点にすぎないと指摘した。さらに、審査官は、封止部材Mが孔Oを取り囲むとの記載には、封止部材Mが孔Oの外側に位置することが黙示的に限定されていると判断し、つまり、上記相違点には実質的な限定作用がないと判断した。この場合、分割出願Eの従属請求項がどのようなものであるかにかかわらず、当該分割出願Eと、既に専利権が付与された実用新案Dとは、同一の発明創造に該当する。そのため、分割出願Eは、専利法第9条第1項の規定に合致しておらず、専利権が付与されることはできない。
審査実務上、出願人が同日二重出願に係る発明専利出願に基づいて発明専利出願である分割出願を提出する場合、分割出願の提出時点における各請求項が、同日二重出願に係る実用新案の出願時における各請求項と実質的に異なることを確保できれば、当該分割出願について専利権が付与される可能性がある。一方、審査官が、分割出願の一つ又は複数の請求項の保護範囲が、同日二重出願に係る実用新案の一つ又は複数の請求項の保護範囲と実質的に同一であると判断した場合、当該分割出願については、分割出願の提出後に請求項を補正することによって専利権を取得することはできない。
3. 出願人の対応策
同日二重出願という出願戦略を採用する場合には、将来的には一方の専利権しか維持できないことになるとあらかじめ想定しておく必要がある。2つの権利を長期間にわたって併存させることを希望する場合には、出願前の段階で、実質的に異なる2組の請求項を設計し、かつ、それらが「同様な発明創造」に該当しないことを確保した上で、「同日二重出願」である旨の声明を行わないことが望ましい。
また、同日二重出願に係る発明専利出願に基づいて分割出願を提出する場合には、分割出願を提出する時点で、分割出願の各請求項と、同日二重出願に係る実用新案の出願時における各請求項との間に実質的な相違が存在することを確保することが望ましい。
