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中国国家知識産権局商標局は、2026年5月21日、商標オンラインサーチシステムに画像検索機能を5月22日より正式に提供開始すると公開した。これにより、出願人及び代理人は、商標局の公式検索システムを通じて直接画像検索を行うことができるようになった。

従来、中国商標局のシステムにおける図形商標の検索は図形要素(図形コード)に基づいて行ったが、今回導入された画像検索機能により、図形商標検索の便利性は大きく向上したといえる。但し、「画像検索は実務上どの程度有用なのか?」、「従来の図形要素検索に取って代わり得るのか?」、「今後の商標出願実務にどのような影響を及ぼすのか?」などの問題については、多くの代理人が関心を持ち、そこで当所では画像検索機能について複数回にわたって実際の検証を行った結果、以下の3点が実務上特に重要であることが明らかになった。
ポイント1:商標局の画像検索精度は比較的に高いものの、その検索結果のみに依存すべきではない
商標局の画像検索機能は現段階ではpng、jpeg及びjpgという形式の画像のみ検索でき、画像サイズが2Mを超えてはならない。
当所では、その検索機能の精度を検証するため、最近出願された複数の図形商標について、実際の審査結果と画像検索結果の比較検証を行った。その結果、商標局の画像検索の結果は、他の一部の非公式画像検索ツールと比較して、その検索精度が高いことを確認した。
当然、画像検索結果はあくまでも参考情報にとどまるものであり、その結果のみをもって登録可能性を判断することは適切ではない。
図形商標の類似判断においては、構図、色彩、デザイン、モチーフ、設計技法、全体的な視覚印象など、多岐にわたる要素が関与するため、AIによるアルゴリズム検索だけでは、実際の審査における判断基準を完全に網羅することは困難である。従い、商標出願する前の調査において、画像検索のみならず、従来の図形要素検索を併用し、さらに代理人の専門的判断を加えて、三者を結合して総合的に検索する方法こそ、最も妥当な登録可能性の評価方式であると判断する。
ポイント2:日本語、ハングルなどの外国語商標に対して、画像検索結果に一定の限りがある
通常の図形商標以外に、日本語、韓国語などローマ字以外の外国語商標に対し、中国商標局は通常、図形商標として見なし審査が行われる。当所では、この部分の外国語商標についても画像検索機能の検証を行った。その結果、画像検索の精度が文字そのものよりも、フォント、デザイン、レイアウトなどの視覚的要素に大きく影響されることを発見した。即ち、文字の内容が同一であっても、フォントやデザインなどにわずかな違いがある場合には、対応する先行商標が検索結果に表示されないケースが見受けられた。
例えば、第5類に出願された「スミガキ」商標を例にする場合、平仮名「スミがき」と片仮名「スミガキ」二種類の文字から新たに作成した商標図面を、画像検索機能を用いて検索した場合、いずれも当該「スミガキ」先行商標は検出されていなかった。一方、出願時に使用されたオリジナルの商標図面「スミガキ」をそのまま使用して検索してみると、該当商標が検索結果の第1位に表示されている。

出願商標:第91360845号(5類)“スミガキ ”
さらに、画像検索の特徴を確認するため、日本語商標の一部文字を加工した図面についても検証を行った。具体的には、第5類に出願された第7483616号「グーグーキッチン」商標を例に、商標図面を「グーグーキッチン」の四番目の仮名である「ッ」の部分を削除し図面を作成し、その画像を用いて画像検索を行った結果、「グーグーキッチン」商標は依然として検索結果の第1位に表示されていた。
しかし、「スミガキ」の例と同じく、同じ文字列を用いて当所にて自ら作成した他のフォントの「グーグーキッチン」を用いて画像検索した場合には、「グーグーキッチン」商標が検索結果に表示されなかった。これに対し、対応商標と完全に一致するオリジナルの図面を使用して検索する場合のみに、対応商標が的確に検出できる。

出願商標:第91360845号(5類)“グーグーキッチン ”
上記の検索結果により、日本語、ハングルなどの外国語商標に対しては、画像検索の精度は文字自体のフォント、設計などに大きく依存していることが分かる。即ち、検索画面と先行商標とのフォント、デザインなどの視覚的な一致度が高い場合に、適切に検出される一方、フォントやデザインにわずかな違いがあるだけでも、実際には極めて類似する商標が検索結果から漏れてしまう可能性がある。そのため、実務中で、一致する商標が表示されなかったことのみを理由として登録可能性を判断することは適切ではない。出願前に、画像検索の結果に加え、専門的なルートを通じてより全面的な検索評価を行うことが望ましい。
ポイント3:画像検索機能には利用回数制限が設けられている
画像検索機能について検証したところ、現在は1日当たり利用回数に制限が設けられ、当所の検証では、一日あたりに約10回程度利用した時点で、それ以上画像検索を行うことができなかった。そのため、一日以内に複数の図形商標を検索する必要がある場合は、あらかじめ検索図形の優先順位を整理したうえ、検索計画を合理的に利用することが望ましい。
まとめ:
今回、中国国家知識産権局商標局が導入した画像検索機能は、図形商標の検索における新たな公式検索ルートを提供し、実務上大きな意義を有すると考えられる。
特に、従来の図形要素(コード)分類による検索と比較して、検索の便利性は大きく向上しており、出願人や代理人にとって有用なツールとなることが期待される。一方で、この機能はあくまで補助的なツールにすぎず、検索結果のみをもって登録可能性を判断することは適切ではない。今回の検証からも明らかなように、通常の図形商標だけでなく、日本語やハングルなどの図形商標として審査される外国語商標についても、検索画像のフォントやデザインの違いによって検索結果が大きく左右される場合があるので、単純に画像検索の結果に基づいて登録可能性を評価することはリスクがある。
従い、画像検索を利用する際には、公式画像検索のツールは図形要素検索と結合し、また非公式検索ツールの検索結果と比較しながら、更に代理人の専門的且つ総合分析を加えて評価することが重要である。
画像検索機能は、今後の図形商標調査において有力な補助手段となることが期待されるものの、その特性や限界を十分に理解した上で適切に活用することが、より精度の高い登録可能性評価につながるものと考えられる。
速報:
2026年6月26日に開催された第14期全国人民代表大会常務委員会第23回会議において、中国商標法の改正案が可決された。改正商標法は2027年1月1日により施行する予定であり、全9章87条から構成され、商標管理制度の整備及び商標専用権保護の強化が図られており、中国商標実務にも大きな影響を与えると見込まれる。
