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はじめに
方法専利はその権利侵害行為が隠蔽性を有するため、権利者は被疑侵害者の製造方法に関する証拠を直接取得することが難しい。立証困難と権利保護とのバランスを維持するため、「専利法」第66条第1項には「新製品の製造方法専利」の立証責任転換規則が規定されている。即ち、権利者は、その専利方法によって製造された製品が「新製品」に属し、且つ被疑侵害製品が「同様の製品」であることを証明した場合、被疑侵害者がその製造方法が専利方法と異なるという立証責任を負う。なお、「新製品」に対する認定基準及び権利者の初歩的な立証責任は、常に議論の焦点となっている。最高法院が最近発表した判決((2025)最高法知行終752号は、同類の案例に対して参考にすることができる。
案件の詳細
A社は、出願番号が201510517570.2で、発明名称が「モレキュラーシーブコーティングアルミ箔及びその製造方法」の発明専利(係争専利と略称する)の専利権者である。
A社は、B社が生産、販売したモレキュラーシーブコーティングアルミ箔(被疑侵害製品と略称する)がA社の専利権を侵害していると判断して、ある地方の市場監督管理局に行政裁決請求を提出した。市場監督管理局は審査を経て、被疑侵害製品の技術案が係争特許権の保護範囲に入っていないと認定した。
A社は、行政訴訟を提起したが、その訴訟請求が一審法院で却下された。A社は、該当一審判決を不服として最高法院に控訴した。
二審の争点
本案例の二審は、最高法院で審理され、二審の主な争点は、被疑侵害製品の技術案が係争専利権の保護範囲に入るか否かである。この争点に対する判断時に、立証責任転換規則が適用されるか否かもかかわる。
二審の意見
A.方法専利が立証責任転換を適用する前提
最高法院は、まず、方法専利が立証責任転換を適用する条件を明確にした。「専利法」第66条第1項及び司法解釈第17条の規定に基づき、「新製品」の製造方法の専利権を侵害するか否かを判定する際に、立証責任転換を適用する前提の一つは、当該方法に基づいて製造された製品が「新製品」でなければならず、専利法で保護されている「新製品」は、専利出願日前に既存した同類製品と比較して、両者が製品の成分、構造、又は品質、性能、機能などの面で明らかな相違点があることである。
B、係争専利の請求の範囲は「新製品」を形成するのに十分な技術的特徴を導入していない
まず、最高法院は係争専利の審査ファイルを結合して分析を行った。係争専利の出願段階において、国家知的財産権局は、第一回審査意見通知書を発行して、元請求項1、2は新規性を有さず、請求項3~10は進歩性を有しないと指摘した。元請求項1~6は物クレームであるが、A社は元請求項3の「モレキュラーシーブコーティングは、モレキュラーシーブと水性アクリル樹脂とが含む」を「モレキュラーシーブコーティングはモレキュラーシーブと水性アクリル樹脂とからなる」に補正してから元請求項1に盛り込むとともに、元請求項7の製造方法に関するステップも元請求項1に盛り込んで、最終的に授権された。
最高法院は、「係争専利の請求項1に対する補正により追加された技術的特徴から見ると、係争専利製品又は当該製品の製造方法は、出願日前に既に開示されたものであり、又は当業者が通常の手段により実現できるものであり、同類製品と比較して明らかな相違点がなく、A社は、元出願の複数の請求項を合併して新しい請求項を形成することで授権されたが、係争専利請求項は「新製品」を形成するのに十分な技術的特徴を導入していない。」。

C、権利者は係争専利の製品が「新製品」であることを証明できなかった
A社は、係争専利の方法で生産されたモレキュラーシーブコーティングアルミ箔が「新製品」に属することを主張するために、高新技術製品認定書、科学技術新調査報告書、新製品判定諮問報告書などの証拠を提出した。
最高法院は、審査を経て、以下のように判断した。高新技術製品認定書には製品名称しか記載されていないため、係争専利の方法に関連付けることができない。科学技術調査報告書に記載された「新型モレキュラーシーブコーティングアルミ箔」の製品は係争専利の方法で生産されたモレキュラーシーブコーティングアルミ箔とは異なる。新製品判定諮問報告書は、A社から提供された資料に基づいてなされた諮問意見で、あくまで参考用として使えられない。上記の証拠は、いずれも、係争専利の方法で生産されたモレキュラーシーブコーティングアルミ箔が「新製品」であることを証明するには不十分である。
D、立証責任は転換できなく、A社は不利になる結果を負うべきである
A社は「新製品」を証明できなかったため、立証責任が転換しない。A社は、請求項1に係る製造方法のステップ1、ステップ2に対して立証責任を負う必要があるが、被疑侵害製品が上記の特徴を備えることを立証できないため、不利な法的結果を負わなければならない。
また、被疑侵害製品のアルミニウムベースの厚さとモレキュラーシーブコーティングの厚さは、いずれも係争専利の請求項1に限定された数値範囲に入っておらず、A社は被疑侵害製品が「モレキュラーシーブコーティングはモレキュラーシーブと水性アクリル樹脂とからなる」の技術的特徴を備えることについても立証できなかった。
結局、最高法院は、被疑侵害製品の技術案が係争専利権の保護範囲に入っていないと認定し、その控訴を却下し、元の判決を維持すると判決した。
案件の示唆
権利者が方法専利の立証責任転換を主張する前提の一つは、初歩的な証拠を提出することで、当該方法に基づいて製造された製品が「新製品」であり、専利出願日前に既存した同類製品と比較して、両者が製品の成分、構造、又は品質、性能、機能などの面で明らかな相違点があることを証明しなければならない。
一方、権利者は、高新技術製品認定書及び科学技術新調査報告書を提供することができるが、いずれも係争専利の方法と関連づけるべきである。
また、権利者は、審査ファイルにおける新規性と進歩性に対する肯定的な意見を利用して、請求の範囲に「新製品」を形成するのに十分な技術的特徴があると主張して立証することもできる。
注意すべきことは、明細書の作成及び応答の段階で、権利者は「既知の製品」に属すると自認することを避けるべきであり、出願書類で方法ステップが成分、構造、あるいは品質、性能、機能などの面に与える影響を十分に体現することが望ましい。