We Serve the Latest News of IP Industry
for Your Reference
中国国家知的財産権局は、悪意を持つ不使用取消請求を抑制するため、今年より三年不使用取消請求に関する方式審査のハードルを高め、出願書類において立証資料の充実性を求める以外に、出願者及び代理機構より承諾書の提供や出願動機の説明も要求し、不使用取消請求の誠実性を証明するようにしています。今回の、三年不使用取消請求に関する方式審査変化について、本文では、その審査動向について説明するともに、実務上の対応策を献言したいと考えます。
一、方式審査の動向
方式審査の動向は、最近国家知的財産権局より発行された「三年連続不使用取消請求補正通知書」の内容から把握することができます。具体的には、以下の三つの内容としてまとめることができます。
1. 出願者による立証資料の補充
従来の不使用取消請求では、対象商標の不使用資料に関して特別な要件が設けていませんでした。但し、今年より発行された補正通知書によると、取消請求対象商標の権利人に関する情報(経営範囲、経営状態、商標登録状況など)や、商品・役務の販売・提供場所の明示が求められるようになりました。そのうえ、オンラインの検索資料に対しても、検索プラットフォームや提出する資料のページ数にも特別な要求が設けられました(例えば、出願者は少なくとも三つ以上のオンラインプラットフォームにおける対象商標の使用状況の検索結果を提出するのみではなく、5ページ以上の検索結果内容を提出する必要があります)。
この変化は出願者の立証責任を増加させ、今後は実地調査が要求される可能性も排除できません。
2. 出願者及び代理機構による承諾書の提出義務
現在、不使用取消請求の提起における誠実性を確保するため、補正通知書を発行することで、出願者及び代理機構による承諾書の提出が求められるようになりました。承諾書において、不使用取消請求の真の出願者、ほかの重要事実、並びに補充資料の真実性に関して保証することが求められます。虚偽の承諾書を提出した場合、関係する主体は信用管理制度における不誠実行為者との懲戒措置を含む、不利な結果を招くことになります。
3. 不使用取消請求の提出動機の説明
不使用取消請求の真の出願者を明確し、ダミー名義での取消請求を規制するため、出願者が不使用取消請求に関連する新規出願商標或いは拒絶査定不服審判中の商標情報を提供するとの補正があります。当該事項がない場合、出願者及び代理機構が承諾書を提出し、真の出願者を隠蔽していないことを承諾する必要があります。
国家知的財産権局は、方式審査において取消出願者の立証責任を強化し、ダミー名義の申請を規制する背景は、近年のダミー名義や悪意による取消申請案件が多発しているからでございます。自然人であれば誰でも取消請求が提起できる制度の下、法人と比べて請求目的を隠蔽しやすい特性があり、複数の自然人が同一商標に対し同時期に相次いで取消請求を提出する事案が発生しました。当所が取り扱った第17026227号「SAMSUNG GALAXY盖 世」商標事件では、三人の自然人が同日に当該商標に対して不使用取消請求を提出したことがあります。権利者がいずれかを答弁しなかった場合、該当商標が取消されるリスクがありました。こういう悪質な取消請求は権利者の答弁負担を増加させるため、悪意商標出願を規制する同時に、取消請求の誠実性も規制する必要があります。
二、対応方策
不使用取消請求の誠実性が求められることで、悪意のある取消請求が規制される一方、正当な出願者の負担も増加しています。こうした変化に対応するため、以下の対策が考えられます。
1. 提出時に不使用の証明資料を充実して提出すること
出願者は、国家知的財産権局の補正通知書を参考に、不使用の証明資料を準備することができます。具体的には、百度・タォバォ/TMALL・京東・ピンドゥドゥ・TIKTOK・小紅書等のプラットフォームから3つを選び、それぞれ第1ページから連続5ページ分の検索結果資料を提出することができます。また、ほかの手段で把握した不使用の証明資料がを合わせて提出することができます。証明資料がより充実すれば、潜在的な再審請求の可能性を低減することができます。
当所が担当した第32323382号「蜂淘便利」商標の不使用取消請求では、オンラインプラットフォームの検索資料以外に、百度マップ上の店舗看板画像も提出しました。その結果、看板に記載されていた「蜂淘」、「蜂淘酒庫」文字は取消対象商標と異なり、取消請求対象商標の使用ではないことを主張しました。その結果、権利人は不使用取消請求に対して答弁しましたが、最終的に取消請求対象商標が取消されました。
2. 真実の情報をもとに不使用取消請求を提起すること
現時点では、不使用取消請求の誠実性に関する審査基準が把握できませんので、真実情報をもって提出しても補正通知が発行される可能性があります。これに対し、不使用取消請求出願書において積極的に新規出願或いは拒絶査定不服審判の情報を提供し、不使用取消請求の動機を説明することや、承諾書を提供することが考えられます。国家知的財産権局は出願者の立証責任の増加、不使用取消請求の誠実性に対する審査を強化することで、不使用取消請求の悪意出願の抑制を図っています。今後、審査実務の深化に伴い、さらなる変化が発生されると考えます。