We Serve the Latest News of IP Industry
for Your Reference
中国の特許出願段階において、請求項に記載されている機能的特徴はかかる機能または効果を実現するすべての実施の形態を含むように上位概念化して解釈されます。そのため、請求項に機能的特徴がある場合、審査官から明細書に開示された範囲を超えていると提示される場合があります。
「機能的特徴」とは、構造、組成、工程、条件又はそれらの間の関係などを発明創造において奏する機能または効果によって限定する技術的特徴を指します。
出願の段階において、なるべく「機能的特徴」の記載を避けるために、まずは、「機能的特徴」に属する技術用語または表現を判別する必要があります。
従来の審査や裁判事例に基づくと、「機能的特徴」の判断要件として以下の内容が考慮されます。
(1)機能または効果のみによって表現され、構造的特徴による限定はない。
(2)当業者に公知されているほぼ定められた技術的構造ではない。
(3)当業者に公知されている技術用語ではない。
(4)この特徴に対する論争の有無。
上記の要件(1)に対し、『特許侵害判定のガイドライン(2017)』には、機能または効果で表現しつつ、構造や、材料や、工程などの特徴で表現される特徴は、「機能的特徴」に属しないと記載されています。
ただし、「機能的特徴」であると認定されることを避けるために、いくつかのどうでもよい「構造的特徴」を追加することは、依然として「機能的特徴」であると認定されます。よって、「機能的特徴」であると認定されないために、同時に、「対応する」構造や、組成や、材料や、工程及び条件などの特徴で表現する必要があります。
上記の要件(2)に対し、当業者に公知されているほぼ定められた技術的構造がない場合、機能的特徴として認定されます。
<判例> 曲声波と新世界(中国)テクノロジーメディア株式会社などの実用新案権侵害紛争案件
対象専利CN2694410Y号の請求項には、「到着予報電子表示板」が複数行のLEDドット マトリックス表示画面であることのみ記載されており、その他の具体的な技術手段は記載されていません。
請求項の記載によると、「到着予報電子表示板」は到着予報の機能のみ記載されており、その他の技術構造は記載されていないため、「機能的特徴」として認定すべきであります。
さらに、2審法院は、本技術分野において、技術構造がほぼ定められ、かつ当業者に公知されている、各線路の最近到着車両の到着予測時刻及び当該駅までの距離などの動的情報をスクロールして表示する到着予報電子表示板が存在することを証明できる証拠がないため、この特徴は「機能的特徴」に属すべきであることを認定しました。(上海高級人民法院(2010)沪高民三(知)終字第89号民事判決書)。
上記の要件(3)に対し、要件(1)および(2)を満たさない場合であっても、当業者に公知されている技術用語に属しない場合には、機能的特徴として認定されます。
なお、中国の最高人民法院は、機能的または効果的文言で表現されるすべての技術的特徴が
「機能的特徴」に属するとは限らないと強調しました。これは、同一の技術分野において、例えば「変圧器」や、「拡大鏡」や、「エンジン(中国語の発動機)」などのように、機能的表現を使用した公知の技術的概念がたくさんあるからです。当業者は、その基本的構造をよく知っており、これらの概念による技術がどのように実現されるかを熟知しているからです。
上記の要件(4)に対し、要件(4)が満たされる場合に限り、要件(1)~(3)に対して判断する必要があります。
最高人民法院(2010)民申字第413号民事裁定書において、中国の最高人民法院は、対応するデバイスの機能のみ記載し、その具体的構造が記載されていないすべての技術特徴を「機能的特徴」として認定することも必ず正確ではないことを明示しました。請求項に記載されている機能的文言を使用して限定した技術的特徴に対し、請求の範囲および明細書を読むことにより当該技術的特徴に対する理解が当業者の通常の理解と一致し、当該特徴に基づく機能または効果がどのように達成されるかを明らかに理解できる場合、「機能的特徴」であるかどうかを判別する必要がなく、直接その技術的内容を特定すれば十分であると説明しました。
以上の分析から分かるように、「機能的特徴」の判断には主に上記の要件(1)~(4)が考慮されます。実務において、より容易に「機能的特徴」を判断するために、以下の判断手順をまとめました。