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【司法文書】
(2020)最高法知民轄終361号民事裁定書(裁定日:2020.10.09)
【裁判要点】
① 管轄権異議プロセスの審理範囲は、当事者の管轄権異議理由に限らない。元の受理法院が管轄権を有しない場合、案件の移送法院も当事者が請求した法院に限らない。
② 入札行為は許諾販売行為に属する。
【案件のいきさつ】
T会社(侵害案件の被告)は四川省成都市は侵害行為の実施地ではないため、四川省成都市中級人民法院(A法院)は案件に対して管轄権を有しないと主張し、案件をT会社所在地の法院(B法院)に移送して審理することを請求した。
A法院は審理を経て、T会社が本案に対して提出した管轄権異議は成立し、本法院は管轄権がないと認めたものの、T会社が請求したB法院に移送せず、C法院に移送して審理するように裁定した。その理由は、かかる製品がC法院の管轄地域にある原子力発電機に取り付けられたため、C法院は侵害行為実施地の法院で、管轄権を有すると認定した。
T会社はその裁定に不服し、最高人民法院に控訴した。最高人民法院は2020年10月9日に一審裁定を取り消し、本案は依然としてA法院が管轄する と裁定した。最高人民法院は、初歩的な証拠に基づいて、T会社は四川省成都市で侵害製品に関する入札行為を実施し、この行為は許諾販売の行為に属するため、A法院は侵害製品の許諾販売行為の実施地の法院として管轄権を有すると認定した。
【まとめ】
① 管轄権異議は専利権侵害訴訟で被告がよく利用する策略である。その主な目的は、自分がよく知っている法院を選択するか、またはなるべく時間を繰り延べるためである。本案において、被告が望むことは案件を自分所在地域の法院に移送することである。A法院は自分が管轄権を有しないことは認めたが、意外的に被告が請求したB法院には案件を移送せず、ほかの法院に案件を移送した。すなわち、管轄権異議が成立する場合、案件をどの法院に移送するかは当事者の請求に限らず、侵害行為実施地のほかの法院を選択することができる。また、最高人民法院はA法院が管轄権を有しないと認めた裁定は否定したが、管轄権異議が成立した場合、法院は当事者が請求した法院に限らず移送法院を決定する意見は認めた。
よって、管轄権異議を申し立てる場合、案件が当事者が希望する法院に移送されないことがあることは考慮すべきである。これは当事者に新たな不便をもたらす。
② 許諾販売とは、店舗内における陳列、展示会での実演、販売注文、販売広告または口頭、書面やほかの方式によって特定または非特定の人にある製品に対する販売意向を明らかに表現する行為をいう。このような行為は専利権侵害行為と認定される。ただし、入札行為が許諾販売行為に属するかについて、昔の案例には言及されていない。本案において、最高人民法院は入札行為も許諾販売に属すると認定し、これによってA法院が管轄権を有すると認定した。
この判例は、自分に有利な法院を選択しようとする権利者に新たな方向を提供した。例えば、対応する法院の所在地で入札募集会を行い、侵害人がその地域で入札行為を行うことでその法院を管轄法院と定めることが考えられる。